谷川流ファンが分析する「涼宮ハルヒ」とそれ以外の作品たち

谷川流という作家を知っていますか? 『涼宮ハルヒの憂鬱』で一躍有名になったライトノベル作家です。この作品はライトノベルの中でも特にメディアミックスされて多くの人を虜にしました。では「ハルヒ」以外の作品は? というと……? 谷川流ファンの私がその魅力を分析・考察したいと思います。

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『学校を出よう!4-final distination-』中島数花は多重人格か?

      2017/08/15

「涼宮ハルヒ」シリーズも「学校を出よう!」シリーズもその4巻目は大きな盛り上がりを見せる。

どちらもシリアスなミステリー展開に読者をハラハラドキドキさせてくれる。

『涼宮ハルヒの消失』は言わずもがな、

『学校を出よう!4-final distination-』はシリーズ初めてにして唯一の超能力者バトルがある。

 

さっそく『学校を出よう!4-final distination-』のあらすじ。

 

『学校を出よう!4-final distination-』

 

超能力者が集められたEMP学園は全部で3校存在する。

その3校に謎の文書が送られた。

 

『中島数花 危険    インスペクタ』

 

誰が何のために送ってきたのか分からないが、さっそくこの少女を調べてみる。

 

『学校を出よう!4』怪文書

『学校を出よう!4-final distination-』

 

しかし、中島数花という生徒はEMP能力を持っているわけでもなく、さして危険があるとも思えない。

調査を切り上げ、少しの監視をしていたところ、中島数花は突然家出をした。

 

『学校を出よう!4-final distination-』家出する中島数花

 

家出の前と後で中島数花から超能力が感知されたり消えたりする。

何かが起こっていることは確かだ。

ひょっとすると彼女はとんでもない超能力の持ち主なのかもしれない。

 

3つのEMP学園はそれぞれ中島数花を保護するための捜査隊を派遣する。

出来れば自分たちの手にしたい。

そんな思惑が交錯する三つ巴の戦いが始まる。

 

『学校を出よう!4-final distination-』中島数花の捜査

 

 

ここからはネタバレを含むより詳しい内容を。

 

家族に話を聞いたところ、中島数花は家出直前記憶に錯綜が見られた。

家出の後も行き先が定まっておらず、どこを目指しているのかもあやふやだった。

 

『学校を出よう!4-final distination-』中島数花

 

このことから中島数花は多重人格ではないか、と予測される。

多重人格で、ある人格の時のみ超能力が発露するのではないか、と。

 

どうでもいいことをここに挿入。

『学校を出よう!4-final distination-』のサブタイトル「final distination」は訳すと「終着点」である。

だがしかし答えはNO。

正解は「並行世界」である。

 

中島数花は強制的に並行世界を移動させられているのだった。

家族が言っていた記憶の錯綜とは、並行世界による誤差なのだ。

 

『学校を出よう!4-final distination-』
読者としては、多重人格説で一瞬納得をしてしまう。

場面転換の度に中島数花の視点に移るのだがその時に、

「○○へ行こうとしていたのに別の電車に乗っている」

という多重人格説を確信させられる描写を読者は見せられる。

 

と同時に、ペットの犬に関して前と後で全く異なることを言う(モノローグだから考える?)。

 

『学校を出よう!4-final distination-』中島数花

 

 

例え多重人格であってもペットの数などに違いはあるまい。

ならばこれはどういうことだ?

と、読者を混乱に陥れる巧妙な手口でこの作品は構成されている。

 

「別の世界」の中島数花は世界を破壊する力を持っていた。

しかし、その力を制御できず、遠からず世界は崩壊する。

ならばということで、この中島数花を並行世界へ飛ばしてしまえばいい、となった。

 

玉突きの要領で一つ一つ移動していく。

いわば、爆弾の横流しである。

 

『学校を出よう!』4巻

 

後の『学校を出よう!』5,6巻で上位世界の存在が明かされるのだが、

中島数花の並行世界移動は彼らにとってもイレギュラーの事態だった。

この危険を促すために彼らはEMP学園に例の文書を送ったのだ。

 

並行世界といえば、タイムパラドックスと一緒に描かれることも多い。

過去が変わり、世界が改変される、自分の知っていた世界とは違う未来になる。

だが、並行世界移動をするのが主人公ではない、という点がこの作品の最大の特徴であろう。

 

『学校を出よう!』4巻、中島数花

 

主人公が違う世界を見て驚くのがこの手の王道パターン。

そうして考えてみると、『涼宮ハルヒ』が王道。

『学校を出よう!』は邪道といっても過言ではない。

 

中島数花以外にも事件を解決するために並行世界を移動する人がいるのだが、

その人が見てきたある重要な事実(シリーズが続けば関わったであろう伏線)を主人公は知ることとなる。

そのまま5,6巻に続く伏線となる物語だけに、一気に風呂敷を広げた感がある。

 

ちゃんと畳めなかったけど……。

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