谷川流ファンが分析する「涼宮ハルヒ」とそれ以外の作品たち

谷川流という作家を知っていますか? 『涼宮ハルヒの憂鬱』で一躍有名になったライトノベル作家です。この作品はライトノベルの中でも特にメディアミックスされて多くの人を虜にしました。では「ハルヒ」以外の作品は? というと……? 谷川流ファンの私がその魅力を分析・考察したいと思います。

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『学校を出よう!』の3巻は、本格派超能力ミステリー!

      2015/10/22

『学校を出よう!』の3巻は異質な存在である。

悪い意味ではなくいい意味で異質だ。

 

『学校を出よう!』3巻
小難しいテーマを主としているこの作品の中で唯一、面白事件を扱った内容だ。

雰囲気はどちらかというと涼宮ハルヒシリーズに近い。

物語は前半部と後半部に分けることができ、前半のシリアスを覆す後半のコメディーが特徴的。

 

『学校を出よう!』の3巻、あらすじは次の通り。

 

超能力者が集うEMP学園。

その学生寮から女子生徒が失踪する事件が起きた。

この学園は超能力者を世間から隔離するためのもの。

無断外出であれば即座に学園側から捕獲命令が出る。

 

しかし、学園はこの女子生徒の失踪を全く気にした様子もない。

 

学生寮で同室の、失踪した女子生徒の親友だという少女が生徒会に尋ねるもすげなくあしらわれる。

生徒会副会長が、

「事件の調査なら妖撃部の光明寺茉衣子に頼め」

と言う。

 

『学校を出よう!』3巻

 

『学校を出よう!』3巻

『学校を出よう!』3巻

 

光明寺茉衣子は生徒会役員でもあるが、生徒会の仕事ではなく個人的な依頼である点に納得がいかない。

人一人が消える、そんな事件に学園側は何もしないなんておかしい。

この失踪事件の裏にはどんな真実が隠されているのか。

 

とさんざん煽ってみましたが、容赦なくネタバレをいたします。

そうしないと『学校を出よう!』3巻の後半部が語れなくなってしまうので。

ネタバレが嫌な方はここで戻ってください。

 

この事件、答えは偽物の存在。

超能力によって、偽物の存在が生み出されたのだ。

失踪事件は、その偽物が消えただけ。

だから学園側も何も気にせず放置した。

本物の女子生徒は超能力を失い、正規に退学していた。

 

事件は解決したかに見えたが、ここからが本番。

真相が分かった時点でこうなることは予測できたはず

と光明寺茉衣子は言う。

 

そうつまり「偽物」が氾濫した。

先の事件では本物は退学していなくなっていたが、今回は本人がいる目の前に偽物が現れたりもする。

 

なにより光明寺茉衣子。

彼女の偽物が、大量発生した。

ここからコメディーと少しの感動が始まる。

 

『学校を出よう!』3巻

 

偽物は生み出した人のイメージによって作られる。

これが今回のテーマ。

先の失踪事件では失踪した女子生徒の親友だという子のイメージで作られた。

それが本物との齟齬を生む。

 

『学校を出よう!』3巻

 

事件の調査で聞き取りを行うとそれが浮き彫りとなる。

失踪した女子生徒は八方美人で誰とでも親しい。

依頼人である親友の子のことも、数ある友人の内の一人、ぐらいにしか思っていなかった様子。

親友だと思っていたのは、事件の調査を依頼した彼女の幻想に過ぎなかった。

 

後の光明寺茉衣子増殖事件では、本当の彼女を、ありのままの彼女を、きちんと見て、きちんと理解して、

それでいて彼女を好いていてくれる人はいるのだろうか、と問われる。

それが本当の親友ではないのか、と。

 

『学校を出よう!』3巻

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